
今年もこの季節がやってきたか、と感じさせるイベントのひとつ、火入れ(野焼き)。集落の河川敷や田んぼの畔などを燃やし、農業の障害となる枯れ草や害虫の処分、植生の維持などを目指す。
茅刈りをさせてもらっている自分にとって、自分が暮らす集落に野焼き文化が残っているのはありがたい。美山町内でも野焼きをいまだに行なっている地区はごく少ないと思う。
焼いた場合と焼かない場合と、農業にどれだけ差が出るのかは定かでないのだ。高齢化が止まらない田舎において、四方すぐそばを広大な山林に囲まれた土地で、リスクを冒してまで集落に大きな火を放つ理由を見い出せなくなるのは、当然のことだろう。まして昨今、大規模な山林火災が国内外で異常なほど頻発しているのである。
若手がいよいよいいなくなり、集落として火入れはもうやめようとなれば、それは仕方ないのかも知れない。ただ、茅刈りに益がある点は別にしても、こうした昔からの生活文化は、出来るだけ残していけたらいいとは思う。
…と、想いはあっても、やはり大きな火は単純に怖い。地元の消防団として防火・警戒にあたるも、強風で火柱が激しくなびくたびに、山まで火がいきませんようにと願う。火と刃物は危ないからこそ慣れろ、という考えではあるが、性格もあるのだろうが、なかなか慣れるものでもない。
何はともあれ、本日の野焼きは無事に終わった。やれやれ、体力より神経を遣った。真っ黒く平らになった大地が何となく美しく見えるのだから、不思議なものである。
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