長く続く雨漏りをとめたい…という依頼。屋根が痩せきって大きな穴が空いており、強引にトタンを当ててしのいでさえいた家である。
応急処置の範囲で…とはいえ、屋根に茅がほとんど残っていない状態。差し茅はもはや出来ない。葺き替えるのが一番早いのだが、予算上それも叶わない。最低限の処置を、と言われても、1年で雨漏りが再発するようなその場しのぎではダメだろう。
仕方がないので、今回は"地獄葺き"と呼んだりするらしいが、痩せた屋根の上からそのまま新しい屋根を葺いていく方法をとった。切った短い茅を用いて、古い屋根の上に極薄の屋根を葺き重ねていく。さげ葺きに似ているが、もう少し強引な方法といったところか。
表面的には葺き替えたのと同様な色合いになったが、屋根の厚みは本来の葺き替えの半分程度もない。
差し茅、さげ葺き、地獄葺き、果てはトタンも用いて。手段を選んではいられないので、箇所ごとに適した方法を選びながら、パッチワークのように修繕していく。
工事範囲外の上の方も、ついでにコケくらい落としてあげたい気持ちになる。が、コケをはがしてしまえば、もはや15㎝くらいしか残っていない屋根の茅が一斉に抜け落ちてくる可能性がある。おかしな話だが、ここは我慢。
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