vol.54 杉皮葺き

 現場を一時中断し、3日間ほどよその現場への応援に。今回は茅葺きではなく、久々の杉皮葺き。小規模な庇(ひさし)や下屋(げや)などで施工したことはしばしばあるが、此度は民家の大屋根。茅葺き同様、今では大抵トタンで覆われていて、今回のような大屋根の葺き替えは珍しい。

 

 杉皮葺きの勘所を教えて頂いた師匠(と勝手に思わせて頂いている)と、久しぶりに一緒の仕事。今回もたくさんいい勉強をさせて頂いた。杉皮葺きをする機会は多くない。やくものをいかにして対応しているかなど、盗みたい技術がたくさんあって面白い。

 

 唯一、ずっと屋根の上で作業することによる足元の負担がつらい。

 比べれば、茅葺きの方がよっぽど急勾配(傾斜)なのだが、そのゆえ茅葺きは屋根の上に直接立つことはしない。足場丸太を吊って、その上を歩く。いわば階段の昇り降りのような作業である。

 一方の杉皮葺きは緩勾配。どうにか立ち歩けてしまう程度の傾斜であるから、そのまま上に乗って作業する。急な坂道の上で一日中踏ん張っているようなものである。だから、足の裏やヒザなどの負担がなかなかにつらい。

 

 杉皮で屋根が葺かれるようになったもの、おそらく林業の副産物として自然と手に入るものだったからではなかろうか。余っているものを、必要とされる場所へ。やはり昔の人の創意工夫はすごい。