vol.221 気の遠くなる作業

 螺旋段葺きの手水舎が終わり、真冬の間は倉庫に引き籠って内職的な作業。

 同じ神社内のご本殿に収める、お社の茅葺き。茅葺き屋根…には違いないが、屋根というより化粧であり、サイズ的には大きな模型だ。要するに、銅板か何かで処置されるはずだった屋根部分を、茅葺き風にすることになったのである。

 本来、50cm内外の厚みを持つ茅葺きである。1m前後の大きさのお社に、そんな厚みの茅葺きをつけたら不格好極まりない。しかし、茅葺きの厚みにはそうなってしまう理由があり、雨がかからないなら極薄でいいや、と単純にはいかない。

 全ての部材をミニチュアにすればよいのだが、それはどれだけ手間のかかることか…。稲藁などをそよがせてそれっぽく見せるか等々、いろいろな案を考えたが、あまりピンとこない。

 

 手間は膨大だが、仕方がないか。茅…つまりススキの穂先をひたすら集めて束を作り、それを無数に並べて縫い留めて刈り込んで、パッと見れば茅葺きっぽい、という作戦で行くことに決めた。

 現場の作業中に出る茅の穂先を捨てずに集め、さらに冬の川原に出掛けてススキの穂先をチョキチョキ集め、長さを整えて太さを揃えて束にしていく。冬枯れの景色の川原をダンボール2~3箱抱えて行ったり来たりしている姿は、傍から見てなかなか怪しいものがあっただろう。

 難しい作業ではないが、量産するには時間がかかり過ぎる。他の茅葺き材料やわら細工関連でもお世話になった、福祉作業所あゆみ工房さんのお力も借りて、ひたすら穂先の小束を製作する毎日。

 悩ましかったのは、初めての試みであり、頭の中のイメージでしか設計図がないのに、実験がほとんど出来ないこと。実験をすれば、貴重な材料を消費してしまうからだ。よって、ほぼほぼぶっつけ本番のような形で、制作スタート。

 通常の茅葺きではなく、穂先を下に向ける"逆葺き"。(もっとも、そもそも穂先しかない) 全て葺き終わってしまうと下地が見えず、どの程度刈り込んで良いか分からないので、数段葺き上げては恐る恐る刈り込んで様子見、を繰り返しながら進む。刈り過ぎてしまったら最後、特殊な工法の都合上、やり直しがきかない。

 

 材料足りなかったらどうしよう。そもそも最後どうやって終わろう?この小さなお社の茅葺きコーティングに一体どれだけ日数掛かるんだろう…焦りと悩みが尽きないまま、寒さに震えつつ真冬の倉庫に引き籠っての作業が続く。