螺旋段葺きが終盤に迫る。さあ、どうやって終わろうか。
茅葺きの棟仕舞いは、地方によってその形は様々だ。美山は、関西に多い"置き千木"。重たい木材をクロスさせて棟に載せ、その重みをもって葺き止まりの茅を押さえるスタイル。
"竹簀巻き"、"針目覆い"など、いろいろある棟仕舞いの中で、何を採用するか。形、気候、いろいろと考えねばならない要素はあるが…。
これは無理だ、途中であきらめた。職人であればこそ、しっかりとした棟仕舞いに心を誘導される。が、今回の現場ではそのリミッターを頑張って外す。
葺いた茅を、杉皮でコーティングする。それだけにした。雨養生のシートを被せるたび、天にそびえる茅の穂先が邪魔になったから、いっそシートを受け流せるように穂先の流れを曲げてみた。それを杉皮で覆ったら、雫を落としそうなとんがり帽子の様な棟が出来上がった。最後まで螺旋で進めた故、棟だけ傾いた形になった。
普段なら、施工したばかりの棟が傾いていたら、気になって仕方がない、というかやり直すレベル。が今回は、これはこれでいいんじゃないか。ゆっくりと傾いていきそうなのを見守るのが、ソフトクリームではないか。
パッと見れば、変わった形の茅葺きという程度だろう。けれど意図というか野望というか、本当の狙い・仕掛けは真冬。螺旋段葺きをほのかに覆いつくす程度の雪が降った時、この屋根は初めてやわらかいフォルムの"ソフトクリーム"っぽくなるはず。段葺きのせいで雪に隠れない部分が出来るなら、それはそれでマーブル模様のソフトクリームになってくれるかも知れない。
春分と秋分の日だけヘビの模様が顕現するマヤ-ククルカンの遺跡のように、そこそこの降雪があった日だけソフトクリームが姿を現す神社…となったら、おもしろいだろう。(なんでソフトクリームやねん!と突っ込みどころは満載かも知れないが・・・) 冬季通行止めの道を、長靴で歩いて見に行ってみようという気持ちになれるかも知れない。
この冬の間はずっとシートで覆われていたから、まだ真価は分からない。が、雪が降れば除雪もせなアカン、仕事も出来ん…と厄介なものだったのが、ひとつ楽しみが出来た。
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