vol.213 ・・・拾う神あり

(※今回画像は全く関係ナシ)

 古いオンボロと言われながら、時に過積載に耐え、時に現場や地元集落内で動けなくなったりしつつも、だましだまし乗って頑張ってくれている軽トラ。この間不具合を修理して以降、順調に走っていると油断していたら・・・。

 やってしまった、バッテリーあがり。資材の買い出しに来た店舗の駐車場にて。トンネルで点けたライトの消し忘れだ。我ながら珍しいと思いつつ、せっかく順調に走ってくれていたものを、自分がやらかしてしまうとは不覚。

 ブースターケーブルは持っているが、救援車が必要だ。カンカン照りの日中、出来れば一般のお客さんに迷惑をかけたくない。辺りを見渡すと、貸出運搬用の店舗の軽トラがあった。あれならちょうどいいかなと、店員さんに事情を説明してお願い。上司に相談しにいった末、結論はNO、だった。

 ここでお店の批判や悪口を述べるつもりは全くない。お店や店員さんなりの判断やルール、線引きといったものがあるだろう。無理をお願いしているのはこちらなのだ。

 とはいえ正直、「え、ダメなんや…」という気持ち。自分だったら、お店の好感度アップのチャンス!と捉えて、忙しい素振りしつつ笑顔で、ちょっとお待ち下さいね~、とか言ったりするけどな…なんて思う。

 

 困ったな、と思ってしばし待っていると、近くにおじさんふたり連れの軽トラが停まる。考えていても仕方ない、頭を下げつつ事情を話すと、ササッと車を寄せて停車。ひとりが買い物へ、ひとりが車対応に。

 ありがたや。作業を進めつつ何度もお礼を言うと、「別に、こんなんお互い様や。声掛けたんが暇人でよかったなぁ。」と笑っておられる。

 無事にエンジンがかかり、ひと安心。感謝を伝えたいが、お金を渡すのも大袈裟だろうと思って、自動販売機で飲み物を買って渡しに行ったら、もう軽トラがない。慌てて見渡すと、近くの交差点で信号待ちをしているのを発見。親切な上に去に足が早過ぎる!走って道路を横切って車の窓越しに飲み物を差し出すと、おふたりで「別にええのに」と笑いながら受け取られた。

 

 あちらにはどうということをしたつもりもないだろうが、受け取る側にとって、困っている時の無償の親切は本当に嬉しい。情けは人の為ならず。恩返し~恩送り。大きなことは出来ないが、誰かの小さな不安をサッと取り除ける、そんな生き方でありたいな、と思った一日だった。