vol.157 次の一歩

 ぶんな立ち上げ以降、最高に仕事に追われた一年が終わろうとしている。時間は間に合うか、茅は足りるか、人手は集まるか・・・。神経をすり減らす毎日に、さらに重ねて飛び込んでくる仕事。暇がないことは事業主にとってある意味幸せなことだけれど、1人でやれる範囲の限界も感じた一年だった。

 自分なんてまだまだマシな方。もっと比べ物にならないくらい忙しい人はたくさんいる。そう言い聞かせて頑張ってもきたけれど、それはそれであまり良くない気がする。甘えかもしれないけれど、忙しさの度合いで自分の立ち位置を意識するより、いかに自分らしく暮らし、内容的な意味でいかに自分のペースで過ごせているか。出来ればそこを大事にしたい。

 がむしゃらに駆け抜け、とてもマイペースなどとは言えなかったかも知れない一年だったけれど、自分の手に収まる最低限の範囲の屋根は守れたんじゃないかと思う。来年も年明けから怒涛の日々となるだろうけれど、ぶんならしい仕事の仕方で頑張っていけたらと思う。

 ただし現状維持だけに固執するのもつまらない。らしさを大事にしつつ、何か次の小さな一歩を踏み出していけたらいい。

 

 「これで安心してお正月が迎えられます、本当にありがとうございました。」 冬に屋根を直したお施主さんから頂いた言葉。これ以上ないくらい嬉しいお言葉であり、同時に重く、何だか考えさせられる言葉だった。

 がむしゃらに仕事をしていると、また費用面の駆け引きばかりに捉われていると、ついつい忘れそうになるが、屋根の破損はお施主さんにとって本当に不安なことであり、そして屋根が直ることは、お施主さんにとってとても安堵することなのだ。

 年越しのほっこりしたひとときに、屋根の心配をしなくていい…か。あぁなるほど。それが当たり前なのだけれど、確かに幸せだな。そして、それに一役買ったんだな。

 誠実ささえ失わずにいる限り、この仕事は誇れる仕事。そう思わせて頂いた言葉だった。大変なこともあったけれど、ちゃんと報われる。

 

 たくさんの方々への感謝の気持ちを胸に、ぶんなもほっこりと、年越しを迎えたいと思います。