vol.148 屋根裏の茅

 とある現場の屋根修繕を終えた後、屋根裏に上がってみることにした。今回は応急的な処置であったため、工事中に屋根裏に上がる必要はなかった。が、いずれ行なうかも知れない葺き替えの時のために、確認しておいた方が何かといい。

 「前の職人さんが、屋根裏の材料をそのままにしてあるから、急に困った時があったらそれを使うといい、と言っておりました。」と、お施主さんの言葉。それも確認しておこうと思って、屋根裏へと上がる。

 なるほど、ちょっとした山になっているほど材料が積まれている。しかし、よく見ればこれは稲藁(わら)だ。屋根に使われている茅・・・つまりススキとは違う。

 耐久性の低い藁という素材は、軒などの雨のかからないところで利用される。茅屋根に穴が開いた際などに使うには頼りない。よほど一時的なことでなければやめた方がいい。

 「屋根裏に茅が残っているらしい」この言葉だけを鵜呑みにして、材料を持たずに修理に来ていたら、危ないところだった。ちゃんと茅が納められていたとしても、湿気が回って腐っており、使えないということも少なくない。やはり直接見て触って、確認することが大事。