vol.141 今年の茅の到着

 避けては通れないながら、正直1年の中でもあまり好きではない作業がこの茅降ろし。10tトラックで届く大量の茅を、倉庫に降ろして収納する作業。こればかりは自分1人では対応しきれないし、人手の確保、先方との晴れた日程の調整、茅を高々と積んでいく…作業。なかなか気が重い。

 茅の刈り手さんからもちろん聞いてはいたのだが、今年の茅はいつにも増して葉が多い。茅刈り研修でも聞いていた通り、近年の全国的な傾向なのだろう。葉っぱのボリュームでかさばるせいで、10tトラックに収納される束数も例年より少なくならざるを得なかった。

 葉っぱの多過ぎる茅は現場で何かと使いにくい。倉庫に収納するにしても、無駄に重たい上に積みにくい。こういう茅が欲しい場面もあるのだが、ほぼ全部これですとなると、なかなか気が滅入る。

 温暖化の影響なのか、今年に限ったことか分からないが、年々こういう茅の率が増えていっているのはおよそ間違いではないのだろう。ならば、それに合わせてこちらが技術を応用していくしかない。

 使いにくいとぼやく以前に、この茅を刈ってくれている刈り手さんがいるのだ。苦労は先方も同様だ。ボリュームが増して刈り束ねる手間や積み込む労力は増すばかり。しかし束辺りの価格は同じで出してくれている。自分が逆の立場だったら耐えられるだろうか、と素直に思う。

 あちらのプロ意識に、こちらも応えねばならない。

 

 高々と山のように積み上がった茅も、ほどなくどこかの屋根へと姿を変え、この先十数年にわたって家を守り続ける存在になる。刈り手さんの頑張りが終わり、ここからは自分の番。茅を活かすも殺すも自分次第。誇りの持てる仕事だけれど、プレッシャーが消えることもない。