vol.123 夏の茅場

 集中豪雨で被害に合われている方々には、心よりお見舞い申し上げます。皮肉にも、毎年のように起こる“数十年に一度の”災害。人は自然災害に合わせて生きていくより他ないけれど、自然を変えてしまっているのは人間であろうから、漠然と、根本的な部分での警鐘である気もする。

 

 長雨がひと落ち着きしたところで、近隣の茅場の様子を見に行った。茅は完全な自然物であるから、台風や大雪などの影響をもろに受けて、その年の茅の品質、及び収量に直結する。大雨が降れば各地の屋根が心配だが、茅もまた心配になるのだ。

 幸い、今回の長雨ではいつもの茅場への大きな影響はなかったようだ。川沿いの茅などは、河川の増水の影響でまとめてなぎ倒されてしまったりする。だから基本的に、毎年刈る場所としてはアテにしていない。

 被害というほどでもないけれど、毎年厄介に思うのがツルで絡む植物だ。ちょっと取り除いたくらいではなくならない。そしてこれが茅同士に広く絡みつく。そうすると、今回のような大雨の際、絡まり合って重たくなった茅たちがまとめてお辞儀してしまうのだ。

 1本1本なら、時間とともに再び起き上がるだろう。けれど、ツルで連結されてしまっているので、起き上がれない。結果的にそのまま成熟し、曲がったクセのある茅になってしまうし、そもそも非常に刈りにくい。

 こまめにツルを駆除して茅場を回るほどの余裕はない。仕方ないことと思いつつ、何かいい方法ないかな…と思う。

 

 盆が明けて、早い茅はもう出穂し始めた。一般人にとってただの草原、雑草地帯である場所を、茅刈りまでどうか無事に…と眺める時季が始まる。