vol.115 もうひと踏ん張り

 3月以降、体にムチ打ってがむしゃらに駆け抜けた日々だったけれど、ようやく区切りが見えてきた。ふと気付けば新緑の山々が美しい季節。そろそろ周りを見渡す余裕を取り戻さねば。

 

 普段は無人のお寺の屋根修繕。こちらも基本ひとりだから、現場は静かそのもの。時報代わりにラジオを流しているものの、木の葉のざわめきや、時折裏山から降りてくるリスらしき獣の足音さえもよく聞こえる。寂しいと思われるかも知れないが、なかなか贅沢な仕事環境のような気もする。

 

 刈り込みが終了すればこの現場も終わり。あぁ、この折れた柄を応急処置したままのハサミもいい加減直さねば。スケジュールが落ち着いたらあれしよう、これしよう。そう思えるようになる現場終盤は清々しい。