vol.113 棟の積み直し

 今日は久々の1日雨。仕事が忙しいのは本当にありがたいこと。けれど働き過ぎて体を壊しては元も子もない。雨でもどうにかして進めてきた現場だったが、今日は潔く、現場は休んで事務仕事。

 もっとも、事務仕事も目をそむけたくなるくらい溜まっている。たまには雨も降ってくれにゃ…。この日記の記事もおおむねひと月遅れくらいになってしまった。何事も、溜め過ぎは良くない。

 

 棟(屋根のてっぺん)が老朽化して、雨漏りも発生しているという現場へ。本格的な葺き替えは数年後にするとして、今回は雨漏りをとめるべく、棟の積み直しをすることになった。

 針目覆い(はりめおおい)タイプの棟。茅を束ねて杉皮で巻いた俵と、太い竹で構成された棟。老朽化して、竹も俵もシナシナになってただ載っているだけである。全て取り除き、長年の間に沈み傾きかけた棟を、あるべき形に茅で積み直す。

 下の屋根が痩せ切っているので、正直、棟だけを直すのもやりにくい。小柄な人に大きく立派な兜を被せるような形になってしまっては、また傾きかねないし、第一格好悪い。どこまでしっかりさせ、どこまで痩せた屋根に合わせるか。新規に積むより、こういった“途中からやり直す”工事はなかなか難しい。

 今回の現場は景勝地で、人手が多く、屋根を見上げてカメラを構える人が絶えない。いかに修繕、いかに数年後には全てやり替える予定、と言えど、やはりある程度格好良く仕上げたい。じっくり作戦を練っている余裕もない。経験を信じて、手が動くままにやってみよう。