vol.107 竹切り

 秋の茅刈りに引き続き、冬は竹切りシーズン。茅も竹も、毎年勝手に生えてきてくれるからありがたい。

 茅はもちろんだが、竹も茅葺き屋根に欠かせない素材。細い竹は茅を縫い止める"押し鉾"として使い、中くらいの太さの竹は下地組みなどに使い、うんと太い竹は棟飾りなどに用いられる。茅葺きに使う道具にも竹は使われる。使い道は多い。

 

 茅と違って竹は一年中生えているが、切るべき旬というものがある。水を吸い上げなくなり身が締まり、虫がつきにくい秋~冬に切り倒す。春~夏に切った竹は水気が多く、長期的には耐久性が悪い。竹が必要な現場が始まった時、旬のいい時期とは限らない。だから、なるべく冬の間にその1年使いそうな竹は切っておきたいのだ。

 竹はいくらでも生えているようで、意外とちょうどいい太さでまっすぐなものは少なかったりする。また、今年生えたばかりの竹はやはり耐久性が低いので、見分けて避けねばならない。茅は立ち枯れている昨年のものを避けなければならないから、この点は真逆だ。

 

 屋根材としての竹切りの後は、食材としてのタケノコ狩りシーズンがやって来る。そうやって間引かれることで、適正な密度の竹林が維持される。役に立つ上に美しく、そして美味しい。素晴らしく優秀な素材。