vol.50 国際茅葺き会議 日本大会(後編)

 ITS(国際茅葺き会議)3日目からは会場が移動。京都市内、美山町、神戸、をめぐる行程。

 地元である美山町は、外国人観光客にも人気のスポット。有名な茅葺き集落である北村では、外国人が歩いているのはもはや日常風景である。

 しかしこの日に限っては、歩いている外国人の大半がプロの茅葺き師であることを、関係者以外は知るまい。

 

 葺き替え中の現場で作業体験が行なわれ、日本の職人の道具も、茅葺き模型とともに展示された。やはり職人同士、国は違えど見慣れない道具には興味津々。近くに日本人職人がいれば、誰彼構わず質問が飛んでくる。

 「これは何に使うんだ?」

 「屋根のこの部分は、日本ではどうやっておさめるんだ?」

 カタコトの英語で頑張って答えようとしている間に、「オレの国ではこうやってな…」 …スマホで写真を見せてくれつつ、説明をしてくれる。みんな、自国の屋根と技術を披露したくてしょうがない。みんな茅葺きが好きなんだなぁと…微笑ましい。

 

 夕方には、ITS毎回恒例の茅投げオリンピックが開催。茅の束を小さな輪に投げ通せるかを競ったり、誰が一番遠くまで投げられるか競ったり。日々の現場仕事で、地上から屋根の上の職人に投げ渡す行為が、競技の由来だろうか?とにかく、恒例ということもあって異常な盛り上がりを見せる。皆すでにアルコールが入っている。客に向かって茅が飛んでくることもあるが、それももはやご愛敬。日本チームの番がくると、「sa-ke!、sa-ke!」…不思議なコールが沸く。もうちょっと他に知ってる日本語ないのか。

 

 外国人も、日本人も、茅葺きに携わっている方々の誇りや信念はすごい。技術面とは違うところでも、今回はたくさんの刺激をもらった。次に再会出来る時まで、今より少しでも成長していられるように、誇りを抱いて頑張ろう。

 

 今回のITSを準備、運営して頂いたスタッフの方々のご苦労、ご尽力は計り知れません。貴重な機会を作り出して頂き、本当にありがとうございました。