今回の屋根の棟(むね:屋根のいちばんてっぺん)には、あまり見掛けることのない"根付き竹"を使う。8年間茅葺きをやってきた中で、根付き竹を扱うのは1年目の見習いの時以来、まだ2回目だ。まして自分の手で加工するのは初めてである。
何か特別な呼び名が他にあるのかも知れないが、根付き竹とは文字通り、根っこがついたまま倒した竹である。地元美山町の棟であれば、"雪割り"と呼ばれる、いわば"根付きヒノキ"を用いる。掘り出すのは重労働ではあるが、慣れればさほど難しくはない。しかし、この根付き竹はそうもいかない。説明は難しいが、根っこを残したまま倒せるよう掘るには、途方もない根気と体力、テクニックを必要とする。
今回は出張中であるため、美山に残っている後輩2人が掘ってくれた。1本掘り倒すのに、2人掛かりで1日かかったらしい。「根っこが肝心だから、むやみに根を切って倒すな」と、後輩たちに念を押し過ぎた。必要以上に巨大な根周りを残し、ご丁寧に土ごと運ばれてきた。
ヨキ(斧)などを使って、土ごと根を切って、棟竹としての形に成形していく。2人掛かりで2日かかって掘ってきたという、2本の根付き竹。加工の失敗は許されない。
これを棟に載せた時、屋根がどんな全体像を披露してくれるのか、今から楽しみだ。
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