トタン屋根は釘で、瓦は土ないし桟木に引っ掛けることで、屋根材を固定している。茅葺きはというと…。
並べた茅に細い竹をあて、この竹を屋根の下地(骨組み)に向けて、大きな針と糸とで文字通り"縫い止める"。つまり、茅は細い竹と屋根の骨組みにサンドイッチされる形で固定されるのである。
単純な作業だが、ここで職人の感性が物を言う。
並べた茅の"腰"の辺りで縫い止めることで、茅に"しなり"が生まれる。しなった茅は、自然に抜け落ちることはあり得ない。逆に言えば、しなっていない茅を、どんな力で万力のように竹で締め付けようとも、引っ張れば容易く抜けるのである。
どうすれば茅がしなる条件を作り出せるか。どのポイントで竹を縫えば茅が一番しなるか…。これが、茅葺きの難しく、面白いところのひとつ。なにせ茅はひとつとして同じものがない。短い、細い、長い、太い、千差万別の茅を扱いながら、その平均値を見極め、全ての茅がしなりを生む策を練る。
力で押さえつけてもダメ、いかにしならせるかがポイント…。まるで我が子の子育てのごとし。一筋縄ではいかないのも納得。。。
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