vol.72 仕事納め

 普通でした、なんて言える年はなかったと思うけれど、今年は最後までいろいろと考えることの多い1年だった。仕事について、暮らしについて、生き方について……。

 下手の考え休むに似たりというものか。確かな光明も見い出せないまま過ごす毎日だけれど、確実に時間は進んでいる。だから、どうあれ自分自身が前を向いて進まねば。ちょうどいいタイミング。新しい年を迎えるとともに、気持ちを新たに。

 

 仕事納めとともに、自分の商売道具も自宅に持ち帰り。今年も自分の手足として頑張ってくれた道具たちに、感謝を込めながらの手入れ。刃こぼれしたハサミ、錆びが浮かんだノコギリ、茅クズや苔土がこびりついた道具…。ろくな手入れも出来ぬまま駆け抜けた年末。今年もありがとう、来年もよろしく頼むなと想いを込めながら、研いで磨いて。

 

 幾多の戦場を経て、道具たちは新品の時よりいい味わいを醸し出してきた。

 人間も同じだろう。いろいろ考えながらも体を動かして、一歩ずつ、進んでいこう。

 

 関わらせて頂いた多くの皆様、本年もありがとうございました。よいお年をお迎え下さい。