vol.37 第一の関門

 今日から3月になって、あちこちで梅の花がチラホラ。ちょうど現場も切り替わった。

 まずは足場にするための丸太を大量に搬入……なのだが、どうしたものか。

 

 現場は神社内の小さな能舞台。参拝者が登るこの階段は、当然トラックでは上がれない。

 こういった場所には、車で上がるための裏ルートが大抵ある。しかし今回は、それがあまりにも狭く、急勾配、急カーブなのである。軽トラでやっと上がれるくらいだろう。それでも、長い丸太を積んだら曲がり切れない。

 2トンロングのトラックで来ている今日は、車ごと上がれるわけがない。人力で、この階段を丸太を担いで往復するしかない。

 

 4面とも葺き替えるため、屋根の周囲をぐるりと足場で覆う予定。だから、大量の丸太がいる。4~6mの丸太を抱えて階段を登り降り・・・心が折れそうになる。真夏でなくてよかった。

 運んだ分の丸太だけで、さっさと足場設営に取り掛かりたい衝動に駆られるが、グッと押さえて自分に言い聞かす。こんなしんどい思いを毎日繰り返すより、今日一日を我慢で耐え抜こう。そしたら明日の自分が、今日の自分に感謝するはず。

 

 予定の丸太を運び切る頃には、辺りは真っ暗になっていた。秋祭りの神輿担ぎ以来の肩の痛み。こんな体力任せの働き方が出来るのは何年先までかな・・・さすがに疲れた。が、これで明日からは鬱憤を晴らすように足場に集中出来るはず。